フィンペシアの副作用のよくない噂
男性ホルモンの作用を抑制すると言われるフィナステリド。
この成分を主剤とした薬剤がフィンペシアです。
この薬剤は日本ではまだ正式に販売されていませんが、個人輸入という形で入手することはできます。
フィナステリド製剤においては副作用はあまりないものとされていましたが、近年副作用に関するいろいろな報告がなされていることもあり、フィンペシアに対しても見直されている動きがあります。
噂レベルなのか、実際に危険なものなのか、現在語られている副作用について見ていきます。
[toc]
副作用の報告
現在語られているフィンペシアを始めとするフィナステリド製剤における副作用とはいくつかあり、主なものは肝機能障害、または性欲減退・精子減少といったものです。
「フィンペシアは子作りに影響があるのではないか」という声ですが、これは主に性欲減退と精子減少について言及しているものと考えることもできます。
しかし、上記は男性に関する副作用であり、もし仮に女性の体内に入った場合はまた別の影響があると言われているのです。
本当に大変なのは女性
フィンペシアを始めとするフィナステリド製剤は、総じて女性の服用を固く禁じています。
さらには、濡れた手などで女性が触れることにも言及されていることがあります。
子作りに影響があるという噂は男性の性欲減退や精子減少という副作用よりも、むしろ女性に大きな影響があるためではないかと考えることもできるわけです。
実際に女性に起こりうる副作用を見ていくと、子作りへどのような影響があるのかが見えてきます。
フィナステリドがもたらす影響とは
実際に、男性がAGA治療としてフィナステリドを用いるのは非常に有効であり、それを主成分としたプロペシア。
またプロペシアとほぼ同様の配合で製造されているフィンペシアは、AGAに大きな成果をもたらすものとなっています。
ただしこれは男性への投与の話。前述のとおり、これらフィナステリド製剤を女性が服用することは禁じられており、AGA・育毛治療を行う医療機関でも、フィナステリド製剤を女性に処方することはできないと明言されています。
では、具体的にフィナステリドはどのような影響を与えるのでしょうか。
まず男性の性機能について見る
AGAの仕組みとしては、男性ホルモン・テストステロンがジヒドロテストステロンに変換され、このジヒドロテストステロンの影響によって抜け毛や薄毛が起こるものとされています。
フィナステリド製剤は、この変換過程にかかわる5α-リダクターゼを阻害することで、ジヒドロテストステロンへの変換を抑制しようという治療法です。
つまり、フィナステリド製剤によって阻害されるのは5α-リダクターゼであり、実際に性欲をつかさどるテストステロンは減少しないのです。
実際に性欲減退などを訴える患者は少なくないようで、その関連性は明らかではないものの、事例として考慮に入れられることが多くなっています。
その発生率は3%前後程度とされており、決して高い数値ではありません。
女性に与える影響が大きいことが問題
男性の性機能に関しては、大きな影響は出ないと言っても問題ないでしょう。ただ、女性がフィナステリドを体内に入れると重篤な問題が出ることがわかっています。
▲妊娠中は禁忌
女性が妊娠中にフィナステリドを服用もしくは体内に取り込んでしまった場合には、お腹の中にいる胎児に多大なる影響を与えてしまうものとされます。
具体的には胎児の生殖器官への影響と言われており、生まれてくるときには奇形となったケースが報告されているのです。
特に男性胎児にはその影響が出やすいことがわかっており、妊娠中に女性の体内に入れることは固く禁じられています。
▲触ってもだめ
フィナステリドは、経口投与だけではなく外用としてもある程度の効果を発揮するものと言われています。
つまり、皮膚投与も可能であるということです。
それは、皮膚からの吸収率が高いということでもあり、場合によっては普通に触れるだけでも体内に取りこむことができるということです。
そこで女性に対する禁忌であるという話を当てはめると、もし仮に女性がフィナステリド製剤に何かの拍子で触れてしまい、それが皮膚から吸収されてしまうとそのまま体内に取り込んでしまうことになります。
これは服用と同様に危険とされているわけです。
そのため、女性は薬剤に触れることも避ける旨が取り扱い説明書などにも明記されています。
▲皮膚吸収を避けるためのコーティング
ただし、フィナステリド製剤はうっかり女性が触れてしまって体内に取り込んでしまうという危険性を加味し、それぞれの錠剤にしっかりとコーティングがなされています。
通常の状態ではそのコーティングの恩恵でほぼ皮膚吸収が起こることはないわけです。
ただし、割れたり欠けたりしたもの、または高温や水ぬれなどでコーティングがはがれてしまったものには注意が必要となります。
取扱いに気をつける
以上のような理由から、女性においては胎児への悪影響が重篤であると言われていることから、子作りに関しても問題があるものとされています。
さらに、男性の性欲減退、もしくは精子減少が起こってしまったときには単純に妊娠しにくくなってしまうため、そういった面でも妊娠を希望する夫婦は取扱いに注意するべきです。
性行為は問題ないのか
フィナステリド製剤を服用している男性と女性が性行為をして妊娠する場合はどうかというと、それに関しては大きな問題は報告されていません。
あまり神経質になりすぎると、逆に薄毛がひどくなってしまう可能性もありますから、最低限の用法・用量を守って正しく服用し、育毛につなげましょう。
女性の薄毛には「ミノキシジル」
では、フィンペシアなどのフィナステリド錠剤が禁忌である女性が、薄毛対策をするにはどうすればよいでしょうか。
もっとも一般的なのが、「ミノキシジル」という成分を含んだ外用薬を使用することです。ミノキシジルは、男性用AGA治療薬として有名なリアップに含まれる、発毛を促す成分です。日本皮膚科学会が発行するガイドラインで、女性の薄毛に対しても有効性が認められています。
ただし、女性がミノキシジル外用薬を使用する場合には必ず女性専用のミノキシジル外用薬を使用しましょう。女性用のものは、男性用のミノキシジル外用薬に比べてミノキシジル濃度が低く、保湿成分などが加えられています。これは、女性の頭皮が男性の頭皮に比べて柔らかく、刺激に弱い特徴があるためです。
ミノキシジルは精子に影響を及ぼすのか?
フィンペシアには妊娠を望む方に気になる副作用が多くありますが、ミノキシジルの副作用はどうでしょうか。
ミノキシジル外用薬の主な副作用は以下になります。
- 皮膚:頭皮の発疹・発赤、かゆみ、かぶれ、ふけ、使用部位の熱感等
- 精神神経系:頭痛、気が遠くなる、めまい
- 循環器:胸の痛み、心拍が速くなる
- 代謝系:原因のわからない急激な体重増加、手足のむくみ
ミノキシジルの外用薬には、精子などの生殖機能に影響を及ぼす副作用はなさそうです。
ただし、妊婦または妊娠していると思われる方、ならびに授乳中の方の使用は禁忌とされています。妊娠中の使用については安全性が十分に確認されていません。また、ミノキシジルは母乳中に移行するといわれています。